シングルスピード化キットの選び方と取り付け手順を徹底解説

自転車のギアが多すぎて、かえって「どのギアを使えばいいか分からない」と感じたことはありませんか?通勤や街乗りだと、毎回のシフト操作が煩わしく感じる場面も少なくないはずです。

「いっそギアをなくして、シンプルに乗れたら楽なのに」——そう思ったことがある人は、意外と多いものです。ぼく自身、クロスバイクに乗り換えた後しばらくして、同じことを考えました。

そんな気持ちを形にしてくれるのが、シングルスピード化キットです。今持っている多段変速の自転車を、ギアなしの1速仕様に変換できるパーツセットのことを指します。

この記事では、シングルスピード化キットの仕組みや種類、選び方から、実際の取り付け手順まで丁寧に解説します。ブランド別の特徴や価格帯の目安も紹介しているので、はじめてシングルスピード化に挑戦する人にも参考になるはずです。

  1. シングルスピード化キットとは?結論:ギアード自転車を手軽に1速化できるパーツセット
    1. シングルスピード化キットの概要と役割
    2. シングルスピード化キットが必要なシーン
    3. キットを使うメリット・デメリット
  2. シングルスピード化キットの種類と選び方
    1. シマノHGフリー用シングルスピード化キット
    2. シマノMSフリー(マイクロスプライン)用キット
    3. SRAM XD/XDRフリー用キット
    4. ボスフリー(ネジ式)対応キット
    5. 厚歯コグと薄歯コグの違いと選び方
    6. 歯数(T数)の選び方:12T〜22Tまでの比較
  3. シングルスピード化キットの主要ブランド紹介
    1. DMR Single Speed Spacer Kit
    2. Wolf Tooth Single Speed Spacer Kit
    3. Wheels Manufacturing シングルスピード コンバージョンキット
    4. Surly シングルスピード スペーサーキット
    5. Mr.Control SSP-SET シングルスピードセット
    6. Reverse Components シングルスピードキット
    7. Fairweather シングルスピード スペーサーキット
  4. ロードバイク・MTBをシングルスピード化する手順
    1. 必要なパーツの確認:スペーサー・コグ・ロックリング
    2. リアエンド(エンド形状)の確認:逆爪・縦爪・横爪
    3. チェーンラインの調整方法
    4. チェーンテンショナーの取り付けと調整
    5. ディレイラーの取り外しとチェーンの詰め方
  5. シングルスピード化キットのよくある疑問と注意点
    1. どんなバイクでもシングル化できるのか?
    2. ハブ規格の確認方法と対応キットの調べ方
    3. チェーン規格(1/8インチ・3/32インチ)について
    4. スペーサーの組み合わせ方とチェーンライン調整のコツ
  6. シングルスピード化の実例・カスタマイズ例
    1. ロードバイクをシングルスピード化した事例
    2. クロスバイク・クロモリバイクのシングル化事例
    3. MTBをシングルスピード化した事例
    4. 人気シングルスピード完成車モデル紹介(Surly・Fuji・Masなど)
  7. シングルスピード化キットの購入方法と価格相場
    1. 国内自転車専門店での購入(Blue Lug・エレファントサイクルなど)
    2. オンラインショップ(楽天・ワイズロードなど)での購入
    3. 価格帯の目安と予算計画
  8. まとめ:シングルスピード化キットで自転車カスタムをもっと楽しもう

シングルスピード化キットとは?結論:ギアード自転車を手軽に1速化できるパーツセット

シングルスピード化キットの概要と役割

シングルスピード化キットとは、多段変速仕様のリアホイールハブに取り付けることで、自転車を1速(シングルスピード)仕様に変換するためのパーツセットです。

一般的なキットには、スペーサー・コグ(リアスプロケット)・ロックリングの3点が含まれています。既存のカセットスプロケットを取り外し、このキットを装着することで、変速機なしのシンプルな駆動系に作り変えることができます。

変速機(ディレイラー)やシフターも不要になるため、パーツ点数が大幅に減ります。メンテナンスが楽になり、見た目もスッキリするのが大きな魅力です。

シングルスピード化キットが必要なシーン

「シングルスピード化が向いているシーン」と一口に言っても、使い方はさまざまです。たとえば通勤・街乗りでは、坂が少なくて平坦な道が多い場合、変速操作がほぼ不要なことに気づくはずです。そういったルートであれば、シングルスピード化することで整備の手間を大幅に省けます。

もうひとつの代表的なシーンが、古い自転車の再生です。ディレイラーやシフターが壊れた自転車を捨てずに直す方法として、シングルスピード化は非常に合理的な選択肢です。修理費をかけるよりコストがかからない場合も多く、コスパの面でも優れています。

変速系が老朽化した自転車、坂のない通勤ルートを走る自転車、カスタムを楽しみたいクロスバイクやMTB——こうした場面でキットの出番があります。

キットを使うメリット・デメリット

シングルスピード化には、メリットとデメリットの両面があります。事前にしっかり把握しておくことで、後悔のないカスタムができます。

項目 内容
メンテナンス性 パーツが少なくなるため掃除・調整が楽
軽量化 変速機・シフター・カセット不要で500g程度軽くなる場合も
見た目 スッキリしたシルエットになる
コスト キット自体は2,000〜6,000円程度と安価
坂道性能 急坂には不向き。歯数の選択が重要
汎用性 地形が変わっても対応しにくい

メンテナンスの楽さは、特に通勤ユーザーにとって大きなメリットです。変速機のワイヤーが伸びたり、チェーンが落ちたりというトラブルが起きにくくなります。

一方、坂道には明確な弱点があります。ギアを変えられないため、急な上り坂ではかなりきつくなります。坂の多い地域での通勤用途には、シングルスピード化は向いていません。住んでいるエリアの地形をよく確認した上で判断することが大切です。

コスト面では、キット自体の価格が安いこともポイントです。ただし、エンド形状によってはチェーンテンショナーが別途必要になるため、予算に余裕を持っておくと安心できます。

シングルスピード化キットの種類と選び方

シマノHGフリー用シングルスピード化キット

シマノのHG(ハイパーグライド)フリーハブは、日本国内で最も普及しているハブ規格です。ロードバイク・クロスバイク・MTBのエントリーモデルから中級モデルまで、幅広い自転車に採用されています。

HGフリー対応キットは、各ブランドから豊富にラインナップされており、入手しやすいのが特徴です。コグの歯数バリエーションも多く、自分の用途に合わせた選択がしやすいといえます。

スペーサーの組み合わせでチェーンラインを調整できるので、初めてシングルスピード化に挑戦する人にも扱いやすい規格です。

シマノMSフリー(マイクロスプライン)用キット

マイクロスプラインは、シマノが12速コンポーネント(デオーレM6100以降など)向けに開発したフリーハブ規格です。従来のHGフリーよりも径が小さく、専用のキットが必要になります。

2018年以降に登場した12速MTBコンポを使っている場合は、マイクロスプライン対応キットを選ばないと装着できません。購入前に必ずハブ規格を確認しておく必要があります。

対応キットはHGフリー用より種類が少なく、価格もやや高めです。ただし、Wolf ToothやWheels Manufacturingなど主要ブランドは対応品を展開しているため、選択肢は確保されています。

SRAM XD/XDRフリー用キット

SRAMのXD・XDRフリーは、SRAM製の変速コンポーネントに採用されているハブ規格です。XDはMTB向け、XDRはロードバイク向けという棲み分けになっています。

この規格は、シマノのHGフリーとは構造が異なります。スプライン(溝)の形状が違うため、専用キットでないと取り付けができません。

SRAMコンポを使っているからといって、シマノ用キットを流用することはできません。フリーハブの規格はパーツ購入前に必ず確認が必要です。

ボスフリー(ネジ式)対応キット

ボスフリーは、古いタイプの自転車や安価なシティサイクルに多く使われているフリーハブ規格です。スプロケットがネジで直接ハブに固定される構造で、カセット式とは異なります。

ボスフリー対応のシングルスピード化は、専用コグをネジ込む形で行います。汎用スペーサーキットではなく、ボスフリー専用のシングルコグを使うのが一般的です。

古い自転車の再生目的でシングルスピード化を考えている場合、ボスフリー対応品かどうかの確認は欠かせません。カセット用キットを買っても使えないので注意してください。

厚歯コグと薄歯コグの違いと選び方

シングルスピード用のコグには、厚歯(1/8インチ幅)と薄歯(3/32インチ幅)の2種類があります。この違いはチェーンの幅に関係しており、対応するチェーンが異なります。

種類 チェーン幅 主な用途 特徴
厚歯コグ 1/8インチ(3.2mm) シングルスピード専用車・ピスト 耐久性が高い・ずれにくい
薄歯コグ 3/32インチ(2.4mm) 多段変速からの転用・コンバージョン 多段用チェーンをそのまま使える

もともと多段変速だった自転車をシングルスピード化する場合、すでに付いているチェーンが薄歯(3/32インチ)であることが多いです。その場合は薄歯コグを選ぶと、チェーンの流用ができてコストを抑えられます。

一方、ゼロから組む場合や耐久性を優先したい場合は、厚歯コグと1/8インチチェーンの組み合わせが安心です。厚歯コグに薄歯チェーンを使うのは脱落リスクがあるため、規格を必ず合わせて使ってください。

歯数(T数)の選び方:12T〜22Tまでの比較

リアコグの歯数(T数)は、走りの軽さと速さのバランスを決める重要な要素です。フロントチェーンリングの歯数との組み合わせで「ギア比」が決まります。

リアコグ歯数 ギア比(フロント44Tの場合) 特徴 向いている用途
12T 3.67 重いが速い スプリント・スピード重視
14T 3.14 やや重め 平坦の通勤・街乗り(脚力ある人)
16T 2.75 バランスが取れている 平坦中心の通勤・街乗り全般
18T 2.44 軽め 坂が少しある通勤路
20T 2.20 軽い ゆったり乗りたい人・坂が多いエリア
22T 2.00 かなり軽い 山道・重い荷物を積む用途

迷った場合は、16Tか18Tから試すのがおすすめです。フロントが44〜46Tであれば、この範囲が多くの人にとって無理なく快適に走れるギア比になります。

歯数を変えることで走りの感覚は大きく変わります。重く感じる場合はリアを1〜2T大きくし、回転が軽すぎる場合は小さくするという調整を繰り返すと、自分に合ったセッティングが見つかります。

シングルスピード化キットの主要ブランド紹介

DMR Single Speed Spacer Kit

イギリス発祥のMTBパーツブランド「DMR(Dirt Muscle Revolution)」のシングルスピードキットです。HGフリー対応のコグとスペーサーセットが中心で、実用的な構成が特徴です。

MTBユーザーからの支持が厚く、タフな使用環境にも耐えられる品質があります。価格は3,000〜5,000円台で、入手性も比較的良好です。

Wolf Tooth Single Speed Spacer Kit

アメリカ・ミネソタ州発のブランド「Wolf Tooth Components」のキットです。HGフリー・マイクロスプライン・XDの各規格に対応しており、マルチ規格対応が大きな強みです。

アルミCNC削り出しのコンポーネントで精度が高く、チェーンラインの調整がしやすい設計になっています。価格はやや高めで5,000〜8,000円前後ですが、品質重視の人に向いています。

Wheels Manufacturing シングルスピード コンバージョンキット

Wheels Manufacturingはアメリカのハブ・BB系パーツで知られるブランドです。シングルスピードキットも展開しており、各フリーハブ規格に対応したモデルが揃っています。

特にベアリングの品質と精度が高く評価されており、長期的な使用を前提にした選択肢として人気があります。価格は4,000〜7,000円程度です。

Surly シングルスピード スペーサーキット

クロモリバイクで有名なアメリカ「Surly Bikes」がリリースするスペーサーキットです。スペーサーセットが豊富で、チェーンライン調整の自由度が高い点が特徴的です。

Surlyのシングルスピードバイクとの組み合わせはもちろん、他メーカーの自転車にも使えます。シンプルで実用的な構成で、価格も比較的リーズナブルです。

Mr.Control SSP-SET シングルスピードセット

台湾製のリーズナブルなシングルスピードキットです。国内でも流通しており、価格が2,000〜3,000円程度と非常に手頃です。

コスパ優先でシングルスピード化を試してみたい場合の入門キットとして適しています。精度はやや劣る場合もあるため、チェーンラインの確認は丁寧に行う必要があります。

Reverse Components シングルスピードキット

ドイツのMTBパーツブランド「Reverse Components」のキットです。アルミ素材を使った軽量設計が特徴で、バイクの軽量化にもこだわるユーザーに向いています。

カラーバリエーションが豊富なので、バイクの見た目に合わせたコーディネートが楽しめます。価格は4,000〜6,000円程度です。

Fairweather シングルスピード スペーサーキット

東京・高円寺の自転車ショップ「Circles」が展開するブランド「Fairweather」のキットです。国産ブランドらしい丁寧な品質管理と、日本語での情報サポートが充実しています。

国内での入手しやすさと、日本人ユーザーに合わせた設計が魅力です。価格は3,000〜5,000円前後で、コスパのバランスが良好です。

ロードバイク・MTBをシングルスピード化する手順

必要なパーツの確認:スペーサー・コグ・ロックリング

シングルスピード化を始める前に、必要なパーツを揃えておくことが大切です。不足があると作業の途中で手が止まってしまうので、事前確認が重要です。

  • シングルスピードコグ(リア側スプロケット)
  • スペーサーセット(チェーンライン調整用)
  • ロックリング(コグを固定するリング)
  • ロックリング専用工具(ロックリングレンチ)
  • シングルスピード用チェーン(必要に応じて)
  • チェーンテンショナー(エンド形状によって必要)

工具類で特に必要なのが、ロックリングを締めるための専用レンチです。シマノのカセット用ロックリングレンチが流用できるケースが多く、すでに持っている場合は追加購入不要です。

チェーンテンショナーについては、次のエンド形状の確認が済んでから判断しましょう。エンド形状によって必要・不要が変わります。

リアエンド(エンド形状)の確認:逆爪・縦爪・横爪

チェーンテンショナーが必要かどうかは、リアエンドの形状で決まります。エンドとは、フレームのホイールを固定する部分のことです。

エンド形状 特徴 テンショナーの要否
逆爪エンド(ロードドロップアウト) 後方に向かって開いている。ホイールを前後にスライドできる 不要(ホイール位置でテンション調整可能)
縦爪エンド(バーチカルドロップアウト) 上下に向かって開いている。ホイール位置の調整幅が少ない 必要
横爪エンド(ホリゾンタルドロップアウト) 前後に向かって開いており調整幅が大きい 不要

ロードバイクやMTBの多くは縦爪エンドを採用しています。この場合、チェーンテンショナーが必須です。チェーンの張りを保てないと脱落リスクが高まるため、必ず用意してください。

逆爪エンドはシングルスピード向きのフレームとされており、追加パーツなしでチェーンテンションを保てます。クロモリ系のシングルスピードバイクに多い形状です。

チェーンラインの調整方法

チェーンラインとは、フロントチェーンリングとリアコグの横方向の位置が一致しているかを示す概念です。チェーンラインがずれると、チェーンが斜めになって効率が落ちたり、チェーンが外れやすくなったりします。

調整はスペーサーの組み合わせで行います。コグの左右にスペーサーを挟むことで、コグのハブ上の位置を変えられます。

理想的なチェーンラインは、フロントとリアが直線上に並んでいる状態です。横から見て、チェーンが一直線になっているかどうかを確認します。細かい確認は、専用のチェーンラインゲージを使うか、定規を当てるシンプルな方法でも対応できます。

チェーンテンショナーの取り付けと調整

縦爪エンドでシングルスピード化する場合、チェーンテンショナーはほぼ必須のパーツです。ディレイラーの取り付けボルト穴(RDハンガー)に装着するタイプが一般的で、既存のフレームに追加工なく付けられます。

取り付け後は、チェーンのたるみが1〜2cm程度になるように調整します。チェーンが張りすぎると断線リスクがあり、たるみすぎると脱落します。ちょうどよいテンションに設定することが重要です。

調整の目安として、チェーンの中央部を指で押してみてください。1〜2cm程度上下する感触があれば適切な張り具合といえます。

ディレイラーの取り外しとチェーンの詰め方

シングルスピード化では、リアディレイラーが不要になります。ディレイラー本体を固定しているボルトを外し、本体とRDハンガーを取り外します。

チェーンは、多段変速用のチェーンよりもコマ数が少なくて済みます。現状の長さから不要なコマを取り除き、ちょうどよい長さに調整します。チェーンカッターが必要で、ホームセンターやサイクルショップで入手可能です。

取り外したディレイラー・シフター・ワイヤー類は保管しておきましょう。元に戻したくなった時や他の自転車に流用できる可能性があります。

シングルスピード化キットのよくある疑問と注意点

どんなバイクでもシングル化できるのか?

基本的には多くの自転車でシングルスピード化が可能ですが、フレームの構造やハブ規格によっては難しいケースもあります。

特に注意が必要なのが、フレームにRDハンガーが付いていない場合です。チェーンテンショナーを取り付ける場所がないため、縦爪エンドのフレームでは対応が難しくなります。

内装変速ハブや特殊なハブ規格を採用している自転車は、シングルスピード化キットが対応しない場合があります。購入前に必ずハブ規格を確認することが大切です。

ハブ規格の確認方法と対応キットの調べ方

ハブ規格を確認する最も確実な方法は、自転車のコンポーネント(変速機やスプロケット)のブランドと型番を調べることです。シマノ製であればHGフリーかマイクロスプラインか、SRAMであればXDかXDRかが分かります。

型番が分からない場合は、フリーハブのスプライン(溝の形状)を直接確認します。シマノHGフリーは細かい縦溝が8本、マイクロスプラインはそれより細かい溝が12本あるのが特徴です。

購入先のショップに現物を持ち込んで確認してもらうのが、一番確実で間違いのない方法です。特に古い自転車や型番が不明な場合は、専門家の目で確認してもらいましょう。

チェーン規格(1/8インチ・3/32インチ)について

先ほどの厚歯・薄歯コグの説明とも関連しますが、チェーン規格の選択を間違えると脱落や破断の原因になります。

多段変速の自転車に使われているチェーンはほぼすべて3/32インチです。シングルスピード化後も既存のチェーンを流用する場合は、薄歯コグを選ぶ必要があります。

一方、丈夫さを重視してシングルスピード専用の1/8インチチェーンに交換する場合は、コグも厚歯(1/8インチ対応)を選ばなければなりません。どちらの組み合わせでも問題ありませんが、厚歯コグと薄歯チェーンの組み合わせは規格外になるので絶対に避けてください。

スペーサーの組み合わせ方とチェーンライン調整のコツ

スペーサーはコグの左右に振り分けて配置します。コグをハブの中央に近い位置で固定するのが基本ですが、フロントのチェーンリング位置に合わせて微調整が必要です。

たとえば、コグの右側(ドライブ側)にスペーサーを多く入れると、コグが内側(左)に移動します。左側に多く入れると外側(右)に移動します。この関係を把握しておくと、調整がしやすくなります。

チェーンラインのずれ量が2mm以内であれば、実用上の問題はほぼ生じません。それ以上ずれている場合はスペーサーの配置を見直しましょう。

シングルスピード化の実例・カスタマイズ例

ロードバイクをシングルスピード化した事例

エントリークラスのロードバイクをシングルスピード化する事例は珍しくありません。特にシフターやディレイラーが劣化してきた場合、修理費に見合わないと判断してシングルスピード化に踏み切るケースが多いです。

ロードバイクの場合、フレームが縦爪エンドであることが多いため、チェーンテンショナーが必要です。コグは14〜16T程度を選ぶと、ロードバイクの軽さを活かした快適な走りができます。変速機を外すことでさらに軽量化もでき、スッキリとしたシルエットになります。

クロスバイク・クロモリバイクのシングル化事例

クロスバイクのシングルスピード化は、街乗りユーザーの間でも人気のカスタムです。特に8〜9速の安価なコンポを搭載したモデルは、数年で変速系がくたびれてくるため、思い切ってシングルスピード化するのは合理的な選択です。

クロモリバイクは逆爪エンドや横爪エンドを採用しているモデルが多く、テンショナー不要でシングルスピード化できる場合があります。クロモリ製のシングルスピードバイクと同様の乗り心地が得られるのも、クロモリクロスのシングル化の魅力です。

MTBをシングルスピード化した事例

MTBのシングルスピード化は、主にトレイルライドやシンプルなオフロード走行を楽しみたい人に人気があります。変速機がないため、泥やダートでの汚れや故障リスクが減り、メンテナンスが楽になります。

コグは18〜20Tといった軽めのギアを選ぶことが多く、急坂でも踏ん張れる設定にするのがポイントです。MTBフレームはRDハンガーが付いていることが多く、テンショナーの取り付けも比較的スムーズに行えます。

人気シングルスピード完成車モデル紹介(Surly・Fuji・Masなど)

シングルスピード化キットを使って自分で作るのも良いですが、最初から完成車として販売されているモデルを参考にするのも有益です。

Surlyの「Steamroller」はクロモリのピスト・シングルスピードバイクとして有名で、逆爪エンドによりテンショナー不要の設計です。Fujiの「Track」シリーズもピスト系の定番モデルとして知られています。

国内ブランドのMASもシンプルなクロモリシングルスピードを展開しており、街乗りからライトなサイクリングまで幅広く対応します。こうした完成車モデルを参考にすることで、自分のシングルスピード化の方向性が見えやすくなります。

シングルスピード化キットの購入方法と価格相場

国内自転車専門店での購入(Blue Lug・エレファントサイクルなど)

シングルスピード化キットを実店舗で購入する場合、自転車カスタムに詳しいスペシャリティショップを選ぶのがおすすめです。

東京・幡ヶ谷の「Blue Lug」や、各地のクロモリバイク系ショップは、シングルスピード化のノウハウが豊富でスタッフに相談しながら選べます。自分の自転車を持ち込んでハブ規格を確認してもらいつつ購入できるのは、実店舗の大きなメリットです。

価格は定価販売が基本ですが、取り付けを依頼できる点やアフターフォローを考えると、はじめてのカスタムには向いています。

オンラインショップ(楽天・ワイズロードなど)での購入

コストを抑えたい場合は、オンラインショップが便利です。楽天市場やYahoo!ショッピングでは、MrControlなど手頃な価格帯のキットが多く取り扱われています。

ワイズロードやPBKといった自転車専門のオンラインショップでは、Wolf ToothやWheels Manufacturingなどの海外ブランドも豊富に取り揃えられています。送料込みでもショップより安くなることが多く、選択肢も広いです。

ハブ規格が確実に分かっている場合はオンラインで購入し、不明な場合はショップで確認してから購入するというのが、失敗しにくい買い方です。

価格帯の目安と予算計画

シングルスピード化にかかる費用は、キット代・工具代・チェーン代・テンショナー代の合計で考えます。

パーツ 価格目安 備考
シングルスピード化キット 2,000〜8,000円 ブランドにより差あり
チェーンテンショナー 1,500〜4,000円 縦爪エンドの場合に必要
シングルスピード用チェーン 1,500〜4,000円 流用可能な場合は不要
ロックリングレンチ 500〜1,500円 未所持の場合
チェーンカッター 800〜2,500円 未所持の場合
合計目安 6,300〜20,000円程度 工具流用で節約可能

すでに工具を持っている場合は、キット代とチェーン代だけで済むため、5,000円前後から始められるケースも十分にあります。まずは手持ちの工具を確認した上で、不足分だけ揃えるようにすると余計な出費を抑えられます。

ショップに作業を依頼する場合は、工賃として3,000〜8,000円程度が別途かかることが多いです。自分でやれば工賃分まるごと節約できるので、DIYでの挑戦はコスパ面でも大きなメリットがあります。

まとめ:シングルスピード化キットで自転車カスタムをもっと楽しもう

シングルスピード化キットは、今持っている自転車をシンプルに生まれ変わらせるための、コスパ抜群のカスタムアイテムです。変速機やシフターをなくすことで、メンテナンスが楽になり、見た目もスッキリします。

キット選びでは、まず自分の自転車のハブ規格(HGフリー・マイクロスプライン・XD・ボスフリー)を確認することが最初のステップです。規格が分かれば、対応するキットのラインナップは自然と絞られます。

コグの歯数は走る環境に合わせて選びましょう。平坦な道中心なら16〜18T、多少の坂があれば18〜20Tが目安になります。チェーン規格もコグに合わせて、厚歯・薄歯を必ず統一しておきましょう。

エンド形状の確認も忘れずに行ってください。縦爪エンドであればチェーンテンショナーが必要で、逆爪や横爪エンドならテンショナーなしで対応できます。手順さえ理解してしまえば、作業自体はそれほど難しくありません。

価格面では、工具を流用できれば5,000〜10,000円程度で一通りの作業が完結します。ショップに頼むよりも工賃分のコストを節約できるので、自分でやってみる価値は十分にあります。

シングルスピード化は「自転車を育てる」感覚で楽しめるカスタムです。一度完成したときのシンプルな乗り心地は、きっと新鮮な気持ちで自転車を好きになるきっかけになるはずです。ぜひ、自分のペースで挑戦してみてください。

亮ペダル

30代後半。自転車を本格的に乗り始めたきっかけは通勤のため。最初はホームセンターで買った安い自転車でしたが、乗るうちに「もう少し速い自転車なら」「もっと遠くまで走れたら」と欲が出てきて、気づけば夢中に。

週末も走るようになり、気の向くままに遠出するのが習慣になったころには、自転車が生活の中心になっていました。

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